あなたにとっての最後のひかりが、必ずあるように。

 2026年4月15日に“FINLANDS”がデジタルEP『しょせんの二人』を配信リリースしました。そして、今作を携えて、全国7都市を巡るワンマンライブツアー『一生涯TOUR』を5月15日(金)札幌SPIRITUAL LOUNGE公演を皮切りに、ツアーファイナルの6月13日(土)東京LIQUIDROOMまで約1ヶ月間にわたって開催! 新曲がどのように披露されるのか、ぜひお楽しみに!
 
 さて、今日のうたではそんな“FINLANDS”の塩入冬湖による歌詞エッセイを3週連続でお届け。第2弾は収録曲「エンドロールタイマー」にまつわるお話です。自身に子どもが生まれて、自覚した変化。そして“守る側”になった今、思うことは…。



4年近くずっとインタビューを受ける時に、「お子さんが産まれて変わったことはありますか?」と聞かれ続けてきた。
その度に「まだわかりません、徐々に変わるかと思いますが」と答え続けてきた。
 
皆さん、お待たせいたしました。
変化を口にできる日がやってきました。
 
 
本当にわからなかった。
東北大震災があった時、私は20歳だった。
もう守られる時間は終わったんだな。と思った。靄がかかった感覚ではあったが、これからは守ってもらっていた人を自身が守る時間になるのだ。と。
 
その時の感覚がやっと言語化出来たし、そうならざるを得ない環境に身を置いた。
 
誰かを守るようになった時
じゃ、誰が私を守ってくれるのだろう。
 
わたしのお守りは記憶である。
家族や恋人、親友から与えられた言葉や優しさや時間だ。仕事であっても日々与えてもらっていると思うその記憶である。
 
いつも深くまで落ちてしまいそうな時に最後の最後で引き留めてくれるのはその記憶である。
 
子供が産まれて守らないと、いや、守りたいと思う存在がいる。
わたしにとって最後の最後のひかりが記憶であるように、その記憶を我が子に少しでも多く渡したいと思うし、その記憶や体験を得られる人で居てほしいと思う。そしていつか与える側になってほしいと思う。
ナイトハイ」という歌で、愛された命は繰り返される。と歌ったが、受けた愛情で出来上がったわたしの命の最新は我が子であるのだ。
 
人はいつ打ちのめされるのかわからない。
いつだってその可能性は秘めている。
もしかしたら明日悲しい思いをするかもしれない、もしかしたら来月今までで一番の寂しさを知るのかもしれない、呼吸の方法を思い出せなくなる程に苦しいと思う日があるのかもしれない。
 
そんな時に最後のひかりでいられるのであればわたしが生きたことは一つ報われる。
 
あなたにとっての最後のひかりが、必ずあるように。
 
わたしの願いである、願いではなく目標かもしれない。
 
120歳まで生きるつもりでいるが、この歌をかけたことでわたしが死ぬ時の後悔は一つ減ったと思う。
記憶をお守りにしよう。これからも。
 
わたしも愛された記憶が今でも何よりもお守りであるから。
 
<FINLANDS  塩入冬湖>


◆紹介曲「エンドロールタイマー
作詞:塩入冬湖
作曲:塩入冬湖
 
◆デジタルEP『しょせんの二人』
2026年4月15日発売