声優・シンガーソングライター楠木ともりが、毎年恒例のリアルバースデーライブ『TOMORI KUSUNOKI BIRTHDAY LIVE 2025 “LAPIDARIES”』を、12月22日(月)にEX THEATER ROPPONGIで開催した。
11月26日リリースの2nd Album『LANDERBLUE』を引っ提げてのSOLD OUT公演の模様をレポートする。
時節柄静かな年の瀬の六本木、会場のEX THEATER ROPPONGI周辺は平日にも関わらず楠木ともりファンで賑わい、ライブグッズも完売が続出。お祝いのメッセージボードや誕生日とXmasを織り込んだ美麗なファン有志と関係各所からのフラワースタンドに出迎えられて入場すると1階は楠木ともりワンマンライブでは初となるスタンディング仕様。女性専用エリアも用意されたフロアを、押し合うことなく譲り合って埋めていくファンのマナーの良さが感じられる。
厳かなBGMが流れる中、上方から垂れた幕越しのステージに、ギター&バンマス・菊池真義、ベース・宮本將行、ドラム・高尾俊之、キーボード・幡宮航太、お馴染みバンドメンバーがスタンバイ。暗転し幕前に楠木ともりが登場、大きな拍手と歓声が上がり、スモークとレーザーで四角錐が描かれた幻想的な空間が現出。2nd Album『LANDERBLUE』1曲目収録、楠木ともり自らが作詞作曲を手がけた『twelve』の前奏が響く。「黒い風は音をたてて 私の横を通り過ぎ 乱れた髪をかきあげて あなたの行方探してる」と囁く様な唄い出しで、ペンライトを持たない楠木ともりのライブならではの漆黒の客席へ唄声を届けて開演。
ゆったりとしたパンツスタイルにベストの出で立ちの楠木ともりの背後で幕が上がり、ステージ上のスクエアに組んだ4機の足場とその上のバンドメンバーが露わになり、マグマ・炎をイメージしたレーザーとスポットライトで場内が赤く染まる。一転してアップテンポな『風前の灯火』でコールを扇動した楠木ともりは「燃え上がれ灯火 もう少しだけ かわらないと嘆いた闇の中 その日まで灯火 導いていて」と自ら手がけた熱いメッセージを迸らせる。今回は全体を4つのセッションに分け、宝石が出来ていく過程をイメージしたセットリストとなっていて、マグマが漏れ出して出来る鉱物=火力の高い楽曲を選んだ最初のセッション2曲目は中村未来(Co shu Nie) が1stアルバムに提供した『BONE ASH』。「体を包む 灰を吹け」というアンニュイな呟きから赤と青のレーザーが乱舞するステージ上を左右へ巡った楠木ともりが前のめりに熱を吐き出す。緊張や感動など様々な感情が溢れるステージ上で、これまでになく「愉しさ」を突出して感じたという楠木ともりは笑顔で
「ようこそー! やばいねースタンディング。熱っ! 嬉しい」
と語りかけ、
「このEX THEATER、メジャーデビューを発表した2019年のライブの箱なんですよ。あの時は座席があったんですけど、今回はスタンディングでたくさんの方に見ていただいていて、満席ありがとうございます(大きな拍手)。みなさん愉しんでいっていただければと思います」
と告げ暗転。
環境変化、圧力が掛かってできる鉱物をイメージし、抑圧がテーマとなる2番目のセッションを『Nemesia』から開始。『LANDERBLUE』7曲目に収録の自ら手がけた楽曲。軽快なリズムをバンドメンバーがリハーサル以上にハイテンションの演奏を見せ、楠木ともりも愉しそうに客席前方の収録用カメラを覗き込み、「何もしなくたって傷ついていく 僕らはずっと脆いままだから」「僕は信じてる あなたの言葉を」と若さ故の繊細さをピンクに変わったライトに包まれポジティブに唄う。一転して不穏なノイズから『LANDERBLUE』収録の『優等生』。ビビッドなライティングに照らされて「この手上げれば ひとり悪目立ち」「私の本音を無視した でもあなたの期待裏切れない」「私優等生です それなりに」と若き苦悩を綴ると「あたし劣等生だねそれなりに」と妖艶な微笑に切り替え、声優・シンガーソングライターならではの表現で場内を沸かせる。全曲作詞・作曲を手掛けた5thEP『吐露』収録の『NoTE』へ。楽曲制作のきっかけとなった友人が来場していたとのことで、「より良くなるばかりじゃない」「でも期待しちゃうんだ 拓く未来を」「綺麗な思い出が邪魔をして 今日を生きる僕は死んでいく」という痛切な歌詞を、これまで以上に情感を籠めて唄い継ぐ。抑圧セッション最後は『吐露』から『DOLL』。「曝け出す言葉は喜劇 溢れ出す愛情は悲劇」「笑顔だけが取り柄 同じ顔向けて 可愛がってもらうの?」と赤と紫のライトに照らされて心の悲鳴を溢れさせる。
「たのしんでいますか?」
と問い掛け、大きな賛同を得た楠木ともりは
「私の誕生日が来たということは、年末でございます」
と、1年のシンガーソングライターとしての活動をトレース。3月8日KT Zepp Yokohamaの『TOMORI FES.』を振り返り
「スタッフさんとね、あ、オルスタ(オールスタンディング)いける! …ってなって、今回オルスタになってます。みんながお行儀よく愉しんでくれたおかげでございます。ありがとうございます」
と謝意を示し大歓声。東名阪Zepp TOUR『“Whose fault is it?”』、映像作品『Tomori Kusunoki ALL VIDEO SONGS』の思い出を語り、『LANDERBLUE』の話題に。
「今回よりコンセプチュアルに、みんなへの想いも沢山乗せたアルバムになっていて。沢山の方に聴いていただきたいって心の底から思えるようなアルバムだったので、ここにいる皆さん、こんなに沢山の方に既に届いていて嬉しいです。ありがとうございます(大歓声)
結構バーって飛ばしてるんで、ここから後半戦ですよ。皆さん(嘆きの声)。やれんのか?どうなんだ?後ろとか見られてないと思ってんだろ! 見えてるからね。ジャンケンポイ!」
と不意打ちのジャンケンに場内即座に反応。楠木ともりは驚きと喜びの表情で
「凄い反応速度、びっくりした。後ろまでちゃんと見えてるので、気を抜かず愉しんでいただきたいと思いますし、2階席も私ちゃんと見てるのわかってる?(2階席から賛同の声)盛り上がっていきましょう」
と告げ暗転。
ここから水と反応した空間で生成される鉱物をイメージして雨、冷たさ、浮遊感がテーマのセッションへ。ブルーのライトとレーザーが中空に溢れ、
「雨が」
という呟きから4th EP表題曲『遣らずの雨』へ。「曇る涙が僕の肺に溜まる これじゃ僕が苦しいみたいだ」「君がどんな顔をしていたのかは この世界で僕しか知らない 誰にも言わない 雨だった」と身体を折る様にして痛切な想いを迸らせる。ダンサブルな変則リズムの『MAYBLUES』ではラップを交え「先生オヤスミくださいな 診断だけならいらないわ」「がんばったセイなの 昨日までマトモだったの 心がヘンなの」と刺激的な歌詞を紡ぎ『LANDERBLUE』収録の『浮遊』へ。青いライトに彩られたステージにレーザーで星が流れ、AAAMYYYによるアンニュイなメロディを、クリアシールドで囲われたドラムの高尾俊之が3台のスネアドラムを駆使して絶妙に叩く。その演奏をイヤモニ越しでなく聴けたファンが羨ましいと述懐した楠木ともりも、英語が多用された歌詞を流暢に披露して聴かせた。
「ライブタイトル『LAPIDARIES』は宝石細工職人という意味を持っています。今回のセトリは、宝石が出来ていく過程というのを表現しています。
私はキラキラしたものを見つけるのが苦手です。どこかにキラキラしたものがあっても、見て見ぬ振りをしてそのままにしてしまったり、拾っても傷があったら捨ててしまったりとか。そんな風に過ごしてきたな…と思います。
でもみんなは違う。誰も拾ってなくても、キラキラしたものがあったら、すっと手を伸ばして拾い上げて、その美しさを知る事が出来たり。拾ったものに傷があっても、それを味だと喜ぶ事が出来たり。
何より凄いな…と思うのは、そのキラキラしたものを自分の経験とか価値観とか記憶とか、そういうのと繋ぎ合わせて、自分だけの力とか想いに変化させる事が出来るのがみんなだな…と常々感じていて。
そこにある鉱石を身に付けて着飾ったり、お守りにしたり、形を変える事が出来る宝石細工職人の様な素晴らしい力だな…と私は常々思っています。
『LANDERBLUE』は、手にしてくれた人のお守りになる様に…って想いを籠めたアルバムでした。それは私が一方的にそうしたいって思ったんじゃなくて、みんなにその宝石細工職人の様な力があるな…って感じていて。それがみんなへのリスペクトだったから。その力を信じてるから、私は。貴方なら、私が造る歌を素敵なお守りにしてくれるだろうな…自分と結び付けて、自分だけのお守りにしてくれるだろうな…って思ったから、リリースしました。
貴方、1人1人が、自分だけのお守りにしてくれました。色々とみんなの感想を聞いたり、逢ってお話をしていく中で、やっぱり素敵な力だな…信じて良かったな…そう思ったので、その感謝の気持ちを伝えたくて、今回このライブにしたいなと思いました。
私は結構、独りの道を歩いてる様に見えるけど、色々な事に流されたり、妥協したりして生きている気もして。みんなは違うな…って、凄い素敵だな…って。じゃなきゃ私のライブには来ないだろうなって思う訳ですよ。
ライブ終わった後、今日愉しかったな…とか、頑張ろう…とか、みんなの力になってるのって、ともりちゃんのお陰で…とか言ってくれるけど。いや違うんだよな…って。私はポンと投げてるだけで、それを受け取った貴方が、自分の力で、自分の想いと結びつけて、新しい自分の力に変える力がある。私はそれにいつも救われていて。
貴方がそんな最高なLAPIDARIESである事を絶対に忘れないでください。私は本当にいつも凄いなと思っています。そして支えられています。ありがとうございます。私もそうなれる様に頑張ります」
と告げての最後のセッションは、地球の核・マントルでできる鉱物からイメージし、心の奥底から溢れる想いを表現した楽曲群の『それでも』から。白く眩いレーザーとスポットライトに照らされ、俯いて「あなたの声が聴きたいよ」「あなたの夢に触れたいよ」「からだいっぱいに溜め込んだ僕の言葉(うた)」と、大切なファンへ想いを籠める。一転してピアノの軽やかな伴奏に客席のコールが被り
「いけんのかーっ!」
と絶叫しライブの定番曲でもある『熾火』へ。「正解ない」「才能ない」「個性ない」「必要ない」とないないずくしの若い咆哮をホールに響かせ、明滅するライトの中激しく踊る。
暗転し、ギターを携え椅子に座った楠木ともりがスタンドマイクに向き合う。静寂に包まれた場内へ
「皆さん、盛り上がってくれてありがとうございます。最後の曲、最高なLAPIDARIESへ向けて唄います」
と告げ、ギターをつま弾いて『LANDERBLUE』最後に収録の『turquoise blue』へ。レーザーでステージ上に現れたヘキサゴンの中で「自由は不自由 気づくのに時間がかかった」「ゴミ山のような夢のほとり 私をつくるのは無駄ばかり」と自嘲気味に言葉を紡ぎ、ターコイズブルーの光を浴びながら「鮮やかに咲いた花は たとえ枯れても胸に残る 希望を捨てずもういちど 私の青を咲き誇りたい」と高らかに想いを迸らせ、眩い光と拍手に包まれる。
「ありがとうございました」
と歓声を浴びながらステージを下りた楠木ともりに万雷の拍手が沸き起こり、「ともり」「アンコール」の声がホールを揺らす。
バンドメンバーに続いて、カーゴパンツとライブTシャツに着替えた楠木ともりが再登場、『シンゲツ』アコースティックバージョンでエクストラステージ開幕。TETSUYAによる現代アニソンらしい楽曲を大胆にアレンジし、自らが手がけた「明日のこともわからないくせに 生まれた意味だけ探して」「傷痕に痛みが走る 消えないシンゲツ」と痛切な詞を乗せる。
「アンコールありがとうございます。TETSUYAさんの曲をアレンジするなんてね、ごめんなさいみたいな気持ちになりつつ、バンドの皆さんがすごく素敵にアレンジをしてくださいまして。月明かりを感じるような幻想的なアコースティックバージョンだったかなと思います。
冒頭でも言いましたが、私はこの箱に立つのが2回目で、その時のライブで初披露した曲があったんですよね。それをこの大切な場所でもう一度唄いたいと思います」
と、今やライブの定番曲となった『バニラ』へ。初々しかった初披露時からの5年間に積み重ねた想いを籠めてホールに響かせる。スポットライトに照らされて「いつか願った多幸の日々に」「いつか慕った普通の日々に」と、5年前とは違った色合いを醸しだした詞を紡ぎ「白く馨る花を添えよう」と声を震わせる。
「初披露した箱で、もう1度、何年も経ってから演るというのも経験がなかったもので、すごく気持ちよく唄えました。ありがとうございます。(余韻に)浸っているところ申し訳ないですが、グッズ紹介しまーす(場内笑)今回ね、皆さんが座れませんから、サラッといきますから」
と、ファッションリーダー・宮本將行他バンドメンバーも参加し笑いの絶えない恒例グッズ紹介、自ら選曲した初のアナログ・レコード盤『PRESSED FLOWERS』の6月17日リリースを告知。
「あっという間です。終わりです(嘆きの声)。終わりです…って MC なかなかないよね。え、ちょっとなんか寂しいからみんなの顔見てこよう。あー、愉しかったですか?」
と、2階席まで見渡した楠木ともりは
「今回ワンマン初のスタンディングということで、みんなも脚も限界かと思うんで短くいきますけど…色々悩んだんですよ。
やっぱスタンディングだし、大盛り上がりしたいかなとか、でも私らしさもなんか捨てたくないしな…とか考えた結果…よりコンセプトもはっきりさせつつ愉しんでもらえる様なライブにしたいな…と思って。でもいざステージ立ってみたら、凄くみんなが近く感じるし、気持ちも、私もどんどん、どんどん乗ってきて。びっくりしちゃったよ。それぐらい本当にみんなのパワーっていうのを凄く凄く近くに感じられるライブで、とっても愉しかったです。
でも、もっとみんなできると思ってるし。声とか出し足りないかな?と思ってるし。2階席とかも距離あるから油断してたんじゃないかな?とか、まだ思っちゃってるし。というのは冗談ですけど(笑)。
でもなんか年の瀬、寂しくなるので、皆さんの背中が見たいなあ。まだいける?(賛同の声)もう一回言って、まだいける?(賛同の絶叫)最高なんだけど! じゃあ皆さん、これで最後だからね、もうアンコールしても出てこないからね(嘆きの声)。ちゃんとここで出しきれよ。最後の曲、みんなのかっこいいとこ見せてください! 」
と叫んで『back to back』へ。
「いけんのかい?もっと唄え! 」
と扇動、「大丈夫」「嘘つくなよ」「大丈夫」「痛いくせに」とコール&レスポンス。さらに間奏でバンドメンバーのソロからハッピーバースデーへ。今年は無いのかな…と油断したところに場内一体で大合唱、銀テープ発射というサプライズに喜びを爆発させた楠木ともりはローソクを吹き消すと曲を再開。喉から絞り出す様に拳を振り上げ、マイクを突き出して「Wow Wow」のコールを扇動、くるくる回転し
「一斉に飛ぶぜ! せーのっ」
で大ジャンプ。記念写真撮影から
「皆さん風邪引かないように! 」
と絶叫、バンドメンバーを送り出すと、
「本日は本当にありがとうございましたーっ!」
とマイクオフでホールに声を響かせ、会場の隅から隅まで視線を送ると手を大きく振って
「良いお年をーっ」
と告げてステージを後にした。
ワンマンで初となるオールスタンディング、初のレーザー演出の導入など、5周年を迎えてなお新しい表現を創り出している、唯一無二の声優・シンガーソングライター楠木ともりのステージの独創性に圧倒された。その上で「受け止めてくれるからこそ」と語り、最大級の感謝と称賛をテーマに据えた楠木ともりのファンへの想いが伝わってきた、六本木の夜となった。
ライター:こもとめいこ♂
写真:高田 梓
『TOMORI KUSUNOKI BIRTHDAY LIVE 2025 “LAPIDARIES”』セットリスト
M01.twelve
M02.風前の灯火
M03.BONE ASH
M04.Nemesia
M05.優等生
M06. NoTE
M07.DOLL
M08.遣らずの雨
M09.MAYBLUES
M10.浮遊
M11.それでも
M12.熾火
M13.turquoise blue
EN1.シンゲツ
EN2.バニラ
EN3.back to back
セットプレイリスト
https://kusunokitomori.lnk.to/BIRTHDAYLIVE2025■公式サイト「楠木ともり Offiial Websaite」
https://www.kusunokitomori.com/■公式YouTube「楠木ともり Official YouTube Channel」
https://www.youtube.com/@tomorikusunoki■公式FC「TOMOROOM」
https://smavoice.jp/s/sma03/artist/45?ima=4857<<アニメ歌ネットトップへ戻る>>